革の歴史は、旧石器時代までさかのぼると言われています。
人類の歴史と共に存在してきた革ですので、世界中に革の文化が存在しています。
中でも、ヨーロッパでは、伝統的な製法を守り、良質な革を作り出しているタンナーが数多く有ります。
その中には、誰もが知っている大規模な大手から、ドイツのペリンガー社、あるいはイタリアのワルピエ社の様に、小規模な家族経営ながら、世界的に有名な革を生みだしているタンナーもあります。
多くの人に評価される革、支持される革を作り出すには、規模の大小ではなく、確かな技術こそが必要という証拠と言えます。
そんな世界的な名門タンナーの御紹介です。(日本のタンナーに関してはこちら⇒日本のタンナー)
イタリアのタンナー
トスカーナ地方、フィレンツェ近郊にあるサンタクローチェが大産地で、世界的なタンナーが数多く有ります。
ベジタブルタンニンなめしのパケッタ製法が伝統として受け継がれています。
革が文化として深く根付いているイタリア。発色の良さもさることながら、非常に上質な皮革を生み出す、バケッタ製法など1000年も続く伝統製法を守り続けています。そのほか、世界でも唯一ベジタブルタンニン100%でなめした事を認定する機関・ベジタブルタンニン協会を持つなど、皮革への取り組みも積極的に行っています。タンナーとして有名なトスカーナ地方では、数千社のタンナーがひしめき合っており、誠意をもった革作りをしている国です。
バダラッシ・カルロ
伝統的なパケッタ製法を現代に蘇らせたバダラッシ・カルロ氏が1967に創業。パケッタ製法で作ったミネルバボックスで有名なタンナーです。因みに、ココマイスターのマルティーニ(ミネルバボックス)とマットーネ、アヤメアンティーコのミネルバボックス、ミネルバリスシオは、いずれもバダラッシ・カルロ社の製品になります。
ワルピエ
タンナーが数多く集まるトスカーナ地方で、家族経営で革を作り続けているタンナーです。成牛のショルダーを使った「ブッテーロ」革を生産しています。因みに、ココマイスターのパティーナ(ヌメ革)は、ワルピエ社の製品になります。
フラスキーニ
北イタリアの名門タンナー、フラスキーニ社は、クロームなめしで有名。フラスキーニ社の革は、濡れた様な光沢と、吸いつく様な手触りが特徴です。
ルッソ・ディ・カサンドリーノ
Russo di Casandrino(ルッソ・ディ・カサンドリーノ)は、ベビーカーフやラムといった最高級レザーを得意とする世界的タンナーになります。
アビップ
ABIP(アビップ)は、Russo di Casandrino(ルッソ・ディ・カサンドリーノ)傘下とし、ポニー専門タンナーとして名を馳せるタンナーになります。NAGATANI(ナガタニ)のNANCY、エーテル・AETHERのルージュ、ロゼシリーズは、アビップのポニースキンになります。
ドイツのタンナー
機械的なクロームなめしを生みだしたドイツ。
カーフスキンを使ったボックスカーフもドイツが発祥です。
ただ、近年は環境基準が厳しくなり、タンナーの数も減っています。
クロムなめしと呼ばれる、なめしの際に薬品を使い、軽くて、柔らかく、伸縮性に富んだ特徴のある皮革を作り上げる製法の発祥の地です。ボックスカーフで有名なタンナーも数多くみられます。しかし、地球環境保護という考えがとても一般的になっている昨今では、廃棄の際に有害物質を発生するクロムなめしは、環境基準を満たせず、廃業に追い込まれてしまうタンナーも数多くいるのが現状です。
ペリンガー
1864年から現在まで、主にボックスカーフを作ってきたペリンガー社。クロームなめしのシュランケンカーフは、ペリンガー社を代表する革になります。
フランスのタンナー
生後3~6か月の仔牛の革を、クロームなめしや染色技術などを駆使して作られるボックスカーフが有名です。
革の染色には、染料に顔料をのせる等、華やかで発色の良い革を好みます。
フランス皮革の特徴は、何といっても上品で高級感漂う質感です。世界的にも有名なブランドが数多く存在するため、そのような革が好まれる傾向があります。染料後に顔料を塗るという独自のバランスが素晴らしく、エレガントなレザーを生み出すタンナーが集まっています。
デュプイ
1948年に設立されたデュプイ社は、高級カーフを得意とするタンナーになります。デュプイ社のボックスカーフは、エルメスが採用している事でも知られていますが、その品質に高さは世界的に評価されています。
アノネイ
1984年創業にアノネイ社は、デュプイから独立したタンナーになります。デュプイ同様、ボックスカーフに定評が有り、グレンソンをはじめ、多くのブランドに革を提供しています。
イギリスのタンナー
イギリスの革と言えば、何と言ってもブライドルレザーなります。
1000年以上前から続く伝統製法で作られ、高い耐久性を誇るブライドルレザーを生みだしたイギリスは、頑丈な革を加工する技術に優れています。
イギリスの革の歴史は乗馬から始まっています。長い馬具の作りの歴史から、皮革素材は堅牢なものを作る技術に秀でるものがあります。代表皮革「ブライドルレザー」は、ロウをじっくりと繊維に染み込ませた、非常に堅牢な皮革です。世界的な靴メーカーも数多く存在する国で、その表情は武骨で味わい深いのが特徴です。
コノリー
1874年創業で、英国王室御用達の老舗タンナーのコノリー社は、ブライドルレザーをはじめ、独自の製法で作られたカーフ「コノリーレザー」で有名です。
セジュウィック
バーミンガム近郊で1906年創業のセジュウィック社もまた、ブライドルレザーで有名で、創業時より、馬具用の革も作り続けています。因みに、ココマイスターのブライドルレザーは、セジュウィック社のブライドルレザーになります。
アメリカのタンナー
アメリカは、牛革や馬革の原革供給国ですが、ヨーロッパからの移住者が、皮革技術を伝えた事から、各地に大小のタンナーが存在します。
ホーウィン
1905年にシカゴで設立されたホーウィン社は、コードバンで大変に有名です。ココマイスターのシェルコードバンシリーズ、NAGATANI(ナガタニ)のWSTOはホーウィン社のコードバンを使用しています。