皮革製品を使う上で気になるのが革のお手入れ、メンテナンスですよね。
皮革製品は、ケアをせずに使い続けていると、時に革の潤いが枯渇する事があります。
因みに、財布の場合は毎日手で触れますので、皮脂が自然に革に塗られる事になるので、毎日手で触れることこそが最大のケアと言ったりもします。
もしかすると、革財布の場合は、そこまで神経質になる必要は無いかもしれません。
とはいえ、革の潤いが無くなってくると、革の色居合いが悪くなったり、内部の繊維結合が弱まり、革本来の持つしなやかさが失われてしまう危険があります。
さらに、汚れやこすれ跡、雨染み等を放っておくと、見栄えも悪くなってしまいます。
特に、革は水に弱いですし、財布は擦り傷などが付きやすい物でもあります。
そんな革のお手入れに関して、AYAME ANTICO代表の菖蒲智氏が、大変わかり易く解説して下さった記事が有り、かつ、転載の許可をいただいたので、こちらで共有したく思います。
革のお手入れ方法:擦り傷などを目立たなくしたい場合
革のお手入れ方法についてご紹介します。
アヤメアンティーコで販売している、ミネルバボックスやミネルバリスシオなど、自然な風合いのバケッタレザーに共通するお手入れ方法です。
革に小傷がついてしまったら
オイルたっぷりの革であれば、その部分を揉み込むだけでもある程度傷は目立たなくなります。
その他、市販されている革用のクリームを塗布することでも目立たなくなります。
※刃物などで大きく傷ついてしまった場合は除きます。革によってはシミになる可能性があるため、必ず目立たない部分でパッチテストをしてください。今回はミンクオイルを使用して、傷を目立たなくしてみました。
1.まず、革表面が汚れていると、そのまま汚れの上にオイルの層ができてしまう場合があるので、革表面を乾いた布で優しく拭いて汚れを落としてください。
2.次に、メガネ拭きなどの柔らかい布にオイルを少量つけます。
革に直接大量にオイルが付着してそのまま放置すると、そこだけシミになる可能性があるので、まず布に少量つけてください。
3.傷のついてしまった部分だけではなく、できればその周辺も含めて、円を描くようにしてオイルを塗りこみます。円を描く理由はオイルを均一に塗るためです。
また、部分的にオイルを塗るとそこだけ色が濃くなる(エイジングする)場合があるので、なるべく全体的に塗りこんでください。
この時点である程度傷が目立たなくなります。
4.最後に乾いた布で拭きあげてください。
ミネルバボックスとミネルバリスシオに関しては、小傷を目立たなくしたり、エイジングを早めたいという理由以外では、オイルでの保湿ケアはほとんど必要ありません。
元々オイルが潤沢に含まれているため革が乾燥しづらく、時間が経ってもひび割れにくいからです。
革のお手入れ方法:防水スプレーを使ったケア
私がいつもおすすめしているのは、防水スプレーでのケアです。
革の一番の大敵はなんと言っても水分です。
革は油には強いですが、汗などの水分には非常に弱いため、ズボンのポケットに財布を入れておくと汗が染みこんでしまい、シミになる場合があります。
そこで防水スプレーの出番です。
今回使用したのは、ハイドロテックというフッ素系の防水スプレーです。
防水スプレーには2種類あり、フッ素系とシリコン系があります。
フッ素系は素材に染みこむようにして繊維をコーティングし撥水させるもので、皮革製品用として販売されているものは大半がこちらです。
シリコン系は素材の表面に膜を張るようにして水分の侵入を防ぐもので、防水効果はこちらの方がありますが通気性が失われるのと、革などではシミになる場合があるためフッ素系をおすすめします。
1.まず、革表面についている汚れを乾いた布で軽く落としてください。汚れたまま吹きかけると、その汚れにも防水加工されてしまうからです。
2.革から20センチくらい離し、円を描きながら全体にまんべんなく吹きかけます。フッ素系のスプレーは吸い込むと人体に有害のため、必ず換気の良い場所または屋外で吹きかけてください。
3.吹きかけると全体が濡れたような感じになります。この時色がエイジングしたように一瞬濃くなりますが元に戻ります。ほんとに大丈夫かな、、と感じますが、乾くので問題ありません。乾くまでしばらく待ちます。
これで防水加工は終わりです。
意外と簡単ですが、水分だけではなく汚れを防ぐ効果もあるため、皮革製品には非常におすすめのケア方法になります。
吹きかける頻度としては私の経験では防水効果が一ヶ月は持たないので、2~3週間に一度といった頻度をおすすめします。
今回使用したミネルバボックス、ミネルバリスシオ、またヌバックの革でシミになることはありませんでしたが、革によってはシミになる場合がありますので、目立たない場所でパッチテストをしてください。
※エナメルの革には防水スプレーは吹きかけないでください。エナメルが曇ってしまい元に戻すことができません。
デニムの染料が色移りした場合
管理人WalletLaboは、財布をジーンズの後ろポケットに入れている事が多いのですが、時にデニム地と擦れ、革表面が青くなってしまった事がありました。
管理人WalletLaboは、その際、コロニルのドレスインプレグニーラーを利用しました。
ドレスインプレグニーラーは、革に深く浸透し、汚れを表面に浮き上がらせる効果を持っています。
ドレスインプレグニーラーの使い方ですが、新しい綺麗な布にたっぷりとスプレーし、汚れた部分を軽い力でパンパンと叩きながら、布へ汚れを移していきます。
布は、常に新しい部分を使い、汚れの付着具合をチェックしながら汚れを叩き移すことで、革の汚れは目立たなくなります。
また、染料以外の汚れ、黒い擦れ跡などがいつの間にか付いていることがありますが、その場合、消しゴム(やわらかいソフト消しゴム)で丁寧に擦ると、汚れは落ちます。
ただし!力加減を間違うと、革の染め色までも落ちてしまうので、慎重に丁寧にやる必要があります。
いずれにせよ、財布の場合は前述のとおり、毎日使う事、毎日手で触れる事が最大のメンテナンスと言えます。
若き革職人の匠、菖蒲 智氏が展開するアヤメアンティーコ(AYAME ANTICO)に関する情報はこちら⇒⇒⇒アヤメアンティーコ(AYAME ANTICO)